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生を遅疑し  死を認めよ  罪に悲歎し  罰を恐れよ  音の案内人はやがて  水の採録者を導く  さぁ、理不尽な終焉を破壊しよう。
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11.23.11:11

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  • 11/23/11:11

11.20.02:02

act.0 : Mors certa, hora incerta.


寝室は燃えていく。



小さな火をかこったまま夜を迎えた
景色は無抵抗に黒に溶け込んでいく
僕らと火は無自覚に溶ける事に抗っている

無言の僕らに代わって火は乾いた音を出す
僕らはというと火が消えるまで黙って見守るだけ
それが今の仕事

僕らは楽観的だ
危険を冒してまで時の流れに逆らいたいと願う
誰からの強要でもない、僕らの望み
だから死という恐怖から逃れるために明るく振舞うのだ
これがさいごなのだと認めたくなくて微笑むのだ
隠しきれていないのは分かっている
震えている手がその証明だ
零れ落ちた涙がその証拠だ

僕らは幸運に恵まれている
どのくらい死んでは生き返ってきただろうか
けれどいつそっぽを向かれるか分からない
僕らは感謝なんてした事が無い
これからもずっとしないまま
そう考えると運とはなんて寛大な心の持ち主だろう
同時に運とはなんて視野の狭い生き物だろう

煙と火の粉が蔓延る
僕らはこの光景さえも忘れてしまうのかな
そうだね 忘れてしまうんだ
焼け焦げた臭いが忘れさせまいと強く主張する
ごめんね もういいよ
何度目かの朝を迎えたら 僕らは別人だ
散花も病葉も添えられない僕らを 笑っておいてよ

灰が世界に舞った
火は力を失っていく
蟻のように黒い夜に溶けていく
僕らも、必然的に

ひとりは天を仰いだ
ひとりはふかく俯いた
僕は最後まで火を見届けた

何処に行こうか考えなくちゃ

僕らは採録者 曖昧な存在

 

モルス・ケルタ,ホーラ・インケルタ
(死は確実、時は不確実)

 

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